<< 一柳ギター工房 | HOME | アルハンブラ宮殿の思い出 >>
 スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | - | -
 5月の恋人
 

新緑が目にしみる5月にもなると

日差しもやや強く、

バスを待つわずかな時間でも日陰を探して

少々行儀がよくないけれど、

住宅の塀に寄り添うようにしゃがみこんでいた。


 

道路を挟んで向かい側は、

フェンス越しに緑の芝生と大きな木々。

そして大きな家々は、敷地が広すぎるせいで

そうは見えず、申し訳なさそうに

所々、建っている。

 

あいかわらず、ひとがいない。

 

子供のころでも、

そこが日本であって日本でないことは

なんとはなしに感じていたけれど

それにしても、ひとの姿が見えないことは

とても不思議だった。

 

もっとも、出入り口は、

遥か向こうの隣の市なのだから

いま見えているあたりはかなり辺境なのだろう、

無理からぬことなのかもしれない。

 

だから、流暢な日本語で話しかけてきたひとを

見上げて、女のひとの、漆黒の肌を認めたとき

少なからず驚いてしまった。

 

公衆電話、近くにありますか?

(このあたりは住宅街だから。。。)

わからないけれど、この通りを歩いて行くと

右側にコンビニがあります。

 

M団地はどのあたりですか?

(恋人にでも会いに行くのかしら?)

それなら、通り沿いをずっと歩いて行って

ちょうど次のバス停辺りです。

 

そのひとは、硬い表情のまま、

わずかにうなずくと、足早に歩き出した。

背中を見送りながら、ふと思ったのだけれど。

ひょっとして、そうではなくって、

ただ駅に向かいたいだけで、

たまたま聞き知ったバス停がM団地だったのかしら?

 

遅れてきたバスに

いつもなら苛立つところだけれど

なんだかほっとしたような気持ちになって

乗り込んだ。

次のバス停まで、歩いても5分くらいだから。。。

でも、そのひとはいなかった。

やはり恋人のところに行ったのだろうか。




| ひとりごと | comments(0) | trackbacks(0)
 スポンサーサイト
| - | - | -


 COMMENT


 POST A COMMENT









 この記事のトラックバックURL
http://kaoribossa.jugem.jp/trackback/39
 TRACKBACK



CALENDAR 
S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      
<< April 2017 >>
PROFILE 
CATEGORIES 
ARCHIVES 
SELECTED ENTRIES 
RECENT COMMENT 
RECENT TRACKBACK 
RECOMMEND 
お問い合わせ 
twitter 
LINKS 
OTHER 


MOBILE 
qrcode